ブランドもの

ブランド。



世の中には靴や洋服、バッグに化粧品、ポン酢やふりかけにまでブランドというものが存在し、人々はそこに価値を見出している。




みんなブランドもののバッグが大好きである。


みんなヴィトンのバッグを持っていないと落ち着かないのである。


みんなお揃いが1番なのである。



少なくとも私の偏見で曇りきった色メガネにはそう映るのだ。


多くの人がブランドを消費選択の基準にし、ブランドアイテムをもつことをステータスとしている。


このブランドの価値というものを古着屋で垣間見ることができる。



同じような生地の2着のパンツ、形も素人目には違いがわからないし、履き心地もどちらも似たようなもんである。


しかし、この2着のうち1着の値段は片方よりかなり高めだ。

いったい何故。


どっちも同じじゃん、むしろやすい方のやつが心なしかしっかりしてそうじゃん。


そう思いながら物色していると答えがあった。




そう、それはパンツのすみっこに刺繍されたブランドロゴのせいなのであった。


豆粒みたいなもんである、違いはそんなもんだ。



おそらく、飲み会等で女の子に


「あ、そのパンツかわいい」


などと言われた際に


「マジ?これラルフローレンのやつなんだ」


と、シャツをめくって豆粒みたいなブランドロゴをドヤ顔で披露する程度にしか役に立たないだろう。 




古着屋で買ったであろうに。






しかし、有名なブランドはやっぱり安心なのである。



お茶漬けは永谷園であり、とんこつラーメンはうまかっちゃんであり、サングラスはレイバンであり、バッグはヴィトンかサマンサタバサなのだ。


それでみんな安心するし、作ってる側もブランドのクオリティを守った良いものを作っているに違いない。



パチモンが出回るということはこの安心が脅かされるという危機なのである。



私はブランドのことをこんな風に理解しているが、それを踏まえてブランド志向というものがあまり気に入らない。  



そもそも私は、Tシャツに書かれた文字というものをわりと大切にしていて、意味がわかってないと着たくないし、そもそもワケのわからない文字などプリントしないでくれと思ってしまう為、結局いつも無地ものを選んでしまう。


街でたまに見かけるが、

でかでかとそのブランドロゴが刺繍された
アバクロンビーアンドフィッチのTシャツやパーカーを着た人、

全面ヴィトンヴィトンしたバッグを持った人、

そんな人を見かけると

どんだけアバクロンビーしててどんだけヴィトンヴィトンしてるんや!

アバクロンビー大好きか
アバクロンビーってなんや

ヴィトンって人の名前やん
日本で言ったら谷村とか澤谷とかやん


などと余計なことを考えてしまうから良くない。

にしても、やはり謙虚さが足りないと思う。


うんざりだ。

有名なブランドじゃなくてもちゃんと探せば良いものだってあるはずだ。

自分の目で見て触って嗅いでみて確かめるのが良い。

人だって同じである。

学歴がブランド化することもあるが、肝心な中身が見えなくなってしまう可能性がある。

大事なのは中身であり、実態だ。

実態を見なければならない。



古着屋で二着のパンツを前にした私は
迷ったあげく豆粒みたいなロゴの入ったパンツをカゴに入れ会計へ向かった。