私の中のサイヤ人
私は自転車によく乗る。
理由は単純に安いからなのであるが、実際タダというワケではない。
近ごろ市街地では路上駐輪できないように自転車守りのおっさんが徘徊しているため駐輪にもお金がかかる、パンクすれば修理代がかかる。
ついこの間、自転車のブレーキシューと呼ばれるブレーキの靴底みたいなものがすり減ってしまい、ブレーキ不能に陥ったため、渋々修理しに自転車屋さんに向かったのだがこれが地味に高額である。
私は思った、交通費タダのように見える自転車のブレーキ1つにも実はお金がかかっているのだ。
これはあまりにも危険な発想だが、愚かな私の脳は「ブレーキの節約」という珍概念を生み出してしまった。
無論、「おばあちゃんが飛び出してきた」「おばあちゃんが飛んできた」等の危機の際の急ブレーキはやむを得ない。
だがそもそも、スピードを出しすぎなければ
ブレーキの頻度は減るはずだ。
例えば信号など止まるべき位置までの距離をイメージしペダルを漕ぐスピードを調節し、ある時点で漕ぐのをやめる。
すると慣性の法則によってちょっとずつスピードを緩めた自転車が目標地点でピッタリと停止するというわけだ。
これが意外と技術を必要とし面白い。
言うまでもないが事故には気をつけているつもりだ。
自転車に乗る際は自転車が軽車両であることを意識して車道左側を走らなければならない。
しかし、道が狭いなどの理由でやむを得ず歩道を走ることがある。
その際に数人で横一列に並び歩道を占拠するその名も「横並び族」に遭遇することがある。
これがまた厄介であり、ひどい時には横並び族がまるでミルフィーユのように何層にも重なっている場合などもある。
そしてある日、横並び族を前にした私の脳裏にあるセリフが浮かんだ。
「この下等生物共が、俺様に逆らおうと言うのか!」
どこかで聞いたような言い回しのセリフである。
さらにそれは続く、
「ならば思い通りに消してやろう、くらえっ!」
と言っても別に何かをくらわせる訳ではなく、「すいませーん」と情けないセリフをかけて通過するのだが。
しかしさっきの言い回しは、、、
そしてその日の帰り道、車に道を譲って頂くシーンがあった。
そこでベジータ様登場!
「ふんっ、この俺様が大人しく礼など言うとでも思ったか!このバカタレが!」
すぐに我に返り、ドライバーへ引きつった会釈をし、その場を通り過ぎた。
セリフを声に出す訳ではないが、おそらく私の表情はサイヤ人そのものであっただろう。
どうやら不思議なことに自転車に乗っているときに限りこの現象が起こるようだ。
今のところ他人に危害を加えるようなことはないようなので、一安心である。
何故かこれを書いていると、数年前に自転車の後輪でうんこを踏んでしまい、後輪にこびりついたうんこがそのまま一周し飛び立った後、後頭部へ直撃するという大惨事を思い出した。
そんな時ベジータ様ならこう言うだろう。
「アタマに来るぜ...なぁカカロット」